第62回NHK杯全国高校放送コンテストの創作ラジオドラマ部門優勝作品です。Youtubeで見やすいようにイメージ写真をつけてみました。ぜひ一度お聞きください。
<P制作後記>
このラジオドラマは、入部したての1年生と音響職人である部長が、苦しんで苦しんで作り上げた作品です。全国優勝できたことは本当に嬉しいですし、最後まであきらめずにやりきった彼らに感謝したいです。
実は、ラジオドラマ部門は今年の4月に入っても脚本もプロットもできていない状況でした。県大会は6月なのですが、、、部員たちはまったく諦めていませんでした。”脚本ができれば1週間で完成させられる”自信があったからです。というわけで、ラジオドラマ班は、脚本ができるまで妥協せずにとことん考えようというスタンスでいました。といってもいいアイデアが浮かぶことなく締め切りがどんどんと迫ってきました。
そんな膠着状態を打破してくれたのが入部したての1年生達でした。ある日、ためしにと1年生だけで企画会議をしたのですが、出るわ出るわどんどんアイデアが出てきました。気がつけば面白いアイデアで教室の黒板がいっぱいになりました。その企画会議から、超ネガティブと超ポジティブの対比を描くという基本線が見えてきました。また、過去の台本を読ませてみると水を得た魚のようにイキイキと演技してくれました。この時に「ラジオドラマは1年生に任せてみよう。勢いのある作品ができるかも。」と直感しました。
そこからは、1年生の中で声優オーディションを行い、仮収録をして脚本を見直し、また録って、脚本を書き直しの連続でした。卓球のラリーと会話のラリーをかけている所や、入部テストの魔法対決など途中は面白いのですが、最後が決まらないんです。何か足りない。オチが面白くない、、、、
同時並行で制作をしていたテレビドラマは、対照的に障害も無く予定通りにスムーズに進んでいきました。こちらも1年生をメイン役者に起用したのですが、とっても演技が上手で見ているものを引き込む作品が出来上がっていきました。
そんな順調なテレビドラマ班を横目で見ながら、ラジオドラマ班は悩んでいました。そもそも”なぜハルちゃんが転部しようと思ったのか”の答えがチーム全員見えていませんでした。そして、チーム全員で悩んで悩んで悩み抜いて、、、あきらめました。
あきらめて、雑談をしていた時にポロっと出たのが最後の決め台詞「だって、私〜」です。このオチが決まったことで、一気に完成までこぎつけることができました。
最後の収録ブースは、全員が疲れ切って声もかすれていました。青山高校は全寮制。入学してから2ヶ月、親元を離れて慣れない寮生活についていくのもやっとの中、全国レベルの作品を作ろうとしているのです。彼らを動かしているのは「演技する楽しさ」だけだったと思います。
収録が終わってからは、音響職人のモリサマーの緻密な編集作業が待っていました。実は、今年から音響編集システムを一新しました。いままで慣れ親しんだwindowsでの編集をMacに切り替えたのです。新しい編集ソフトを使って行ったのですが、これが驚くほど処理が早く今までの半分の編集時間でクオリティの高いものを仕上げることができました。新システムに切り替えたことも成功でした。
全国大会では1年生達の勢いそのままに、あれよあれよと勝ち上がり決勝大会に進出することができました。
最後に、モリサマーのNHKホールでの優勝コメントを紹介します。
「台本の制作にほとんどを費やしました。本当に完成するまで大変でした。みんなに愛されるようなキャラクターを作ろうと考えて1年生もみんなで制作しました。本当にありがとうございました。」
もちろん、いろいろ反省点もあります。録音・編集技術の向上も一つの課題だと思いました。たとえば他校に比べて声優の音圧が弱い点です。さらにちょっと声が遠くに聞こえてしまうことや反響対策をする必要があります。今まで手を出さなかったコンプレッサーの研究が必要かと。来年に向けては、短い作品をたくさん作ってYoutubeにアップする予定です。
というわけで、この作品を作り上げ優勝を勝ち取ったこそが”ドラマ”です。来年のコンテストはどんなドラマが待っているのか楽しみです。(P)
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